任意売却について

任意売却の場合の流れを詳しく解説します。また、任意売却なら競売を避けて自宅に住み続ける方法も紹介

任意売却の流れ

 このまま住宅ローンをずっと支払っていけるか不安を感じたら、一度専門家に相談してみましょう。お金のことだから、金融機関・・・債務が返せないのだから弁護士?住宅だから不動産業者・・・。さまざまな分野が関わってきます。
 当社がおすすめしたいのは、任意売却の実績のある不動産コンサルタントです。
 住宅ローンが返せない場合の最終対策は不動産を処分して返済することになるからです。そのときに最も重要なのが、不動産がいくらかで売れるのかです。この判断は、法律のことや金融の知識など他岐にわたりますので、不動産に詳しい専門家でないとできません。実際、家が売れないとか、売ってもローンは完済できないと自分で思い悩んでいるだけで、売れば充分に返済できるという方も多いです。売って完済できるなら、任意売却でなく、普通に売却できまます。

1.面談

 お電話やメールでお問合せ頂くと、まず面談します。お客様の都合に合わせて、来社して頂くか、ご自宅に訪問することがあります。来社の場合、専用の入り口があり完全予約制です。他のお客様と会うことはありません。
 まず、どうして払えなくなったのか。失業とか給与減額とか、お子様の学費で支出が急増したとか、払えなくなった事情をお聞きします。
 その中で現在の収入や支出、ご家族の状況のお聞きします。
 次に、債務の状況です。住宅ローンの滞納の件、税金の支払い、その他、住宅ローン以外の債務はあるか、具体的に数字を出していただきます。すべての件を伺うのは、任意売却だけではなく今後に生活の立て直しに非常に大切だからです。
 さらに、今の家に住み続けたいかなど、希望を伺います。方針を決める上でまずお客様の希望を第一に、それが現実可能かどうかを検討していくことになります。
 特に必要な書類はありませんが、借入れの返済予定表とか、借入れ先からの通知とかがあれば見せていただきます。
 ほかには、住宅を購入したときの契約関係書類など、購入当時の資料があれは有難いです。

2.現状分析

 ご自宅に伺った場合には、不動産の状況が分かりますので、おおよその売却可能価格が判断できます。
 家を手放したくない。住み続けていたいというご希望であれば、それが可能かどうかも分析します。今は苦しくても将来返していけそうなら、金融機関に返済条件の変更や借り換えの相談するという方法もあります。また、当面は金利だけの返済とか、手段はありそうです。
 但し、すでに滞納がある状態だとこうした見直しの相談には応じてもらいにくいので、滞納する前に一度相談してみるべきでしょう。
 返せないけど住み続けたいというご希望なら、身内で助けてくれる人はいるか、または不動産業者に買い取ってもらって賃貸で住み続けたいと希望する方もいますが、実際に家賃がいくらくらいかを計算すると高くて払えない方が多いです。住み続けるには、身内や友人の協力が必要です。

3.不動産売買の仲介契約

 任意売却する方針と決めた場合、不動産売買の仲介代理契約を結んでいただきます。費用はかかりません。契約に必要なのは印鑑だけです。
 任意売却の交渉窓口を一本化したいという、債権者側のニーズもあって、専属専任媒介契約をします。この契約書があれば、当社がお客様の代理人として、任意売却の配分の調整も含めて、不動産売買に関するすべての交渉を代行することができます。
 他に、債権者には、独自の委任状が必要な場合もあります。国や自治体との交渉の場合も委任状をいただきます。いずれにせよ、書類に署名、捺印をいただくだけで、当社に任意売却を依頼するという契約は完了します。

4.不動産の査定

 地域の相場やその他のデーターをもとに売却価格を査定書を作成します。査定書には債権者によって、それぞれ書式があります。また、債権者も独自の査定価格をもっていますが、机上の査定なので高くなりがちです。実際には、写真をつけたりしてここは修繕が必要とか、汚いなど説明して売れやすい価格にします。さらに、写真ではわからない匂いなどマイナスポイントなと担当者に説明します。
 それほど手間をかけて丁寧に交渉していくことが任意売却です。
 実際には一円でも高いことが望ましいですが、売れなければ競売になってしまいます。高い値段では買い手がつかず売れませんでしたとの結果にもなりかねません。
 売れないからといって勝手に価格をさげることもできません。債権者との交渉しながら売ることが必要条件です。
 基本的には確実に売れる価格で債権者の了解をとります。
 価格と残債の金額は関係ありません。2000万円の残債があっても、800万円でしか売れない場合であれば、800万円で納得してもらえるよう交渉します。「競売ならもっと低い金額になってしまいます。当社市場価格で、なるべく高値で売ります」と納得してもらえるまで根気強く交渉いたします。ただし、あまり低すぎても「それでは妥当性がない」と却下されてしまいます。債権者も素人ではありませんから、他の査定もとり、お互いの査定をすり合わせて、売り出し価格を決めます。

5.債権者との配分交渉

 債権者に、任意売却の申し出書や媒介契約書を送って、お客さまからの依頼を受けて当社が任意売却を担当します。と連絡します。債権者複数いれば全部連絡をします。
 債権者すべての合意をとることが必要です。
 この売却価格と債権者との配分交渉が任意売却にとって一番のやま場です。正式書類を作成するのは購入者が決まってからですが、この時点で口頭による合意をとっておきます。

6.不動産の売り出し

 一般の物件と同様、売却物件として広告を出します。不動産業者の物件情報ネットワークにも情報を流します。別にチラシを作って現地にまくこともあります。
 図面上、瑕疵担保責任免責(雨漏れとか水漏れとか、売買時点で気づかなかった欠陥が見つかった場合、売主が損害賠償や修繕の責任を負うものというもの)と記載し販売します。
 つまり、売りっぱなしの物件です。
 購入希望者が家の中を見たい言えば、ご案内します。このときは、売主として、見学に協力していただきます。なにかしていただくのは、これくらいです。
 最終的には買い手にも任意売却物件だと説明します。契約の際契約書に記載するからです。
 しかし、任意売却物件とわかったから購入をやめるといわれたことはありません。
 売買取引は一般売却と変わらないので、売り手が恥ずかしい思いをすることはないと思います。

7.不動産売買の契約

 売買契約時には、決済日(引渡し日)を決め手付金をもらいます。覚書を契約書に記載し「保全のために手付金は仲介業者が預かる」と記載します。
 契約が終わると、確定した売却金額に基づいて配分調整をします。今度は必要経費を控除し、一円単位で配分表を作成し債権者に送ります。
 事前に大筋の合意はとれているのであとは微調整ですが、経費詳細を出し、引っ越し代の配分をもらう交渉をします。
 基本的に不動産仲介手数料や抵当権抹消の登記費用など、取引に必要な経費は売却代金の中から支出することが認められていますので、新たに売主がご用意する必要はありません。
 通常は売主が負担するべきものですが、売主に支払い能力がないからです。それに加えて売主の引っ越し費用を出してもらえるよう交渉いたします。ほとんどの場合、債権者が配分で認めてくれる引っ越し代は30万円程度です。

8.決済および抵当権の抹消

 契約からおよそ1ヶ月後売買代金の決済を行います。
 当日、買主、売主、不動産業者、司法書士、債権者が一堂にあつまり売買代金の清算を行います。司法書士はその場で手続きをして、登記所に持ち込みます。各自の領収書が必要ですから、当日は必ずご用意下さい。(引っ越し先の賃貸借契約書と係わる領収書等)

9.残った残債は?

 残債はどう支払うかについては、決済のときに封筒をわたされて、払える金額をこれに書いて送って下さいと言われることもあります。残債、利息、延滞損害金がいくらと明細が書いてありますが、お金がない人から取ることができません。
 実際の支払い交渉は、金融機関の債権を引き継いた保証会社から回収の委託うけた債権回収業者(サービサー)と話し合うことになります。

10.新生活のスタート

 新しい住まいに引っ越し、気持ちを切り替えてのスタートです。このとき、ローン滞納中に貯めておいた余剰金あると、新生活をスムーズにスタートすることが出来ます。  競売で追い出されるのと自ら進んで新スタートを切るのでは大きな違いがあるはずです。
 任意売却では、残債が残りますから、これからどうするかという問題があります。当社では任意売却が終わっても、ご要望があれば相談をお受けします。書類等が来たから、どうしたらいいですか?という問い合わせ多いですが、強引に取り立てられたとか、大変な目にあったという話は聞いたことはありません。恐がらずにきちんと連絡して、余裕がないといえばいいのです。ただし、ご不安があればいつでも相談に乗りますし、必要に応じて信頼できる弁護士もご紹介します。事情は私どもがよく承知していますので弁護士に一から説明する必要もありません。お気軽にご連絡下さい。

任意売却なら競売を避けて自宅に住み続ける方法がある

 任意売却のカウンセリングをしていて、お客様の要望で多いのが、どうしても今の家に住み続けたいというものです。苦労して手に入れたマイホームだから、子供の学校を変わりたくないから、家族の絆だから・・・・挙げられる理由はさまざまですが、やはり自分の家を持つということは特別の意味があるようです。
 しかし、ローン返済中はマイホームにあらず。完済して初めて本当に意味で「マイホーム」になるのです。ローンを払っている間は金融機関の所有する家に賃貸で住んでいるのと変わりません。
 本当にその自宅が必要なのか、いま無理をしてローンの完済まで支払い続ける価値のある不動産物件なのか、客観的に考え直してみてください。
 そういっても、住宅ローンを支払えなくなってもなんとか自宅に住み続けたいという方が相談にこられると、その希望にそえるように出来るだけのお手伝いをします。実は任意売却することで、そのまま自宅に住み続けることが出来る場合もあります。

Kさんの場合
会社からリストラされて失業保険で生活したが、学費や生活費でとても住宅ローンの返済まで余裕がなくずるずる期日だけ過ぎました。再就職も決まり、金融機関に相談に行きましたが「いますぐ残債分一括返済をしないと競売になりますよ」言われ、相談になりませんでした。

任意売却のプロだからこそ出来る「買戻しプラン」

 任意売却で親戚や親しい友人の方に買い取っていただいて、その方に家賃を支払って住むという方法があります。
 Kさんは、妹夫婦が別世帯で安定した会社に勤務していたので、訳を話して買い取りに必要な資金をローンで調達しました。こうしてKさんは自宅の名義は妹夫婦に変わったものの、以来の家に住み続けられることになりました。
 妹夫婦からみると、兄のために組んだローンが無理なものでない限り、割安に不動産を取得できて家賃収入が得られるわけです。
 現在、住宅ローン等は金利が安く1%を割っている金融機関もあります。1000万円を20年で借入しても月の返済は、46,000円です。
 「買い戻しプラン」の実現は困難ですが、買い取って自分に貸してほしいと頼める人がいないか、考えてみるといいでしょう。あきらめる前に、当社のプロに相談してみて下さい。難しい希望であるほど、誰に相談するかで成否が左右されます。